眩しいなぁ!
 赤く染まった強い陽が、私に向けて射してくる。
 何か私に言いたそうに。
 でも実際は、何も言ってこない。
 ただ、眩しいだけ。
 でも何か言いたそうに、夕陽は私を見続けている。
 限られたほんのちょっとの時間だけ。
 ずっと見ている・・・私を。
 いつまで経っても何も言わないから、私の方から言ってあげる。
 「今日の妻と子は、どうでしたか?」
 「妻と子は、元気にしていましたか?」
 「それと、今日の私は・・・どうでしたか?」
 私から言うのは、これだけ。
 夕陽が私を呼ぶときに、それだけを。
 まだ、一度も返事はない。


Kazu


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