時々、扉の外から会話が聞こえてくる。
 上手に、会話をしている。
 羨ましい・・・
 私も会話がしたいけど、規則に囲まれた独りきりの長い生活。
 とても寂しくて、心まで凍えそう。
 その生活の中で会話ができる最初のチャンスは、『願いごと』という申し出で、他には『面会』というサプライズがなければ、あとは無言か独り言。
 この生活の中で、一番に欠けるのは会話。
 徐々に会話能力が衰えていく。
 こんなことになるとは・・・想わなかった。
 こんなことは初めて・・・
 話して言葉を伝えることと、このように言葉を綴って伝えること。
 全然、頭の働きが違う。
 話し掛けられると、頭の中で様々な言葉が一気に交錯して、上手く言葉がまとまらずに自分の想いがなかなか伝えられない。
 でも、話し掛けられたことに対して、早く応えないといけない。
 口から出る言葉よりも、なぜか眼からこみあげる涙の方が早そう。
 頑張って応えているけど、途中で徐々に何を話しているのか解らなくなってくる。
 考える思考と話す会話が上手くかみ合わない。
 話すのが難しいね。
 昔は・・・ちゃんと会話ができたのに・・・


Kazu


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